Studio Oneもまだあまり使い込めてないのですが、これから購入を考えている方はどのような音源が使えるのか気になるところでしょう。そこで今わかっている範囲で収録されている音源についてレビューしたいと思います。
Studio One 2のProducerグレード以上はVSTに対応していますので、市販のVSTインストゥルメントをいくらでも使えるわけですが、それ以外にPreSonus独自のネイティブな音源を4種類持っています。
1. Impact ドラムマシン
2. Mojito モノフォニック・アナログシンセサイザー
3. Presence サンプリング系シンセサイザー
4. SampleOne サンプルプレイヤー
それぞれの機能についてはMI7のサイトに詳しく載ってますので省略しますが、この中で最も実用的で使用頻度の高いものといえば、やはりサンプリングシンセのPresenceになります。Studio One 2での楽曲制作は基本的にPresenceを中心に行うことになるでしょう。
Presenceはサンプリング音源ですから、当然PCMデータを記録したプリセットが必要になります。どれだけのプリセットが付いてくるかはグレードによって異なります。たとえば無料版のStudio One FreeにはStudio One Instruments Volume 1というプリセットが付いてきますが、これは必要最小限といえるセットで必ず物足りなくなります。一応ピアノ、キーボード、ベース、ギター、シンセ、オーケストラ系など一通りは揃っていますが、ほぼGMの音色程度と考えていいでしょう。まあそれだけでも使えないことはないですが、本格的にやるには力不足です。さすがに無料ではそこまで大盤振る舞いはありません。(笑)
Artistグレードになると、
Studio One Expansion
Studio One Piano
Voodoo One Synth
が追加されます。Studio One Expansionには主にアナログシンセ系の音色が50ほど含まれます。そして、Studio One Pianoにはよりクォリティーの高いピアノ音色が3種収録されています。Studio One Instruments Volume 1に含まれるピアノ音色はさすが無料だけあって貧弱なものですが、Studio One Pianoのピアノ音色はそこそこ使えるものになっています。人によって好みもあるでしょうが、個人的には許せるレベルの音色です。一応、このStudio One Pianoを使って制作した楽曲がありますので、サンプルとしてお聴き下さい。印象としては、中音域の厚みが少し足りないような気もします。ただピアノ音源に関して言えば、やはりProToolsに付属するMini Grandの方が優れていると思います。自分はピアノの音色にすごくこだわるので、どうしても気に入った方を使いたくなります。Voodoo One Synthはその名の通り、シンセ系の音色が多数収録されています。
さらにProducerグレードになると、
Studio One Instruments Volume 2
Studio One Electric Pianos and Organs
Vintage Keys
Synth Session Soundset
が追加されます。Studio One Instruments Volume 2はVolume 1には収録されなかったバリエーションが多数収録されており、これでようやく使えるレベルになる感じです。Studio One Electric Pianos and Organsはエレピやオルガン系の音色が多数収録されています。Vintage Keysはその名の通りヴィンテージキーボードのサンプルを集めたセットです。Synth Session Soundsetにはベース系、パッド系、リード系などのシンセ音色が多数収録されています。Studio One Instruments Volume 2に含まれるストリングスを使って制作した楽曲がありますので、サンプルとしてお聴き下さい。
こうやって見ると、やはり本格的に使うにはStudio One Instruments Volume 2が含まれるProducerグレード以上にした方がいいと思います。ただそれでも使える音色にはかなり偏りがあり、シンセ系やキーボード系の音色はやたらと充実していますが、生楽器系が少々弱いように思います。一応オーケストラ楽器はすべて網羅されていますが、奏法によるバリエーションなどはほとんどなく、やや物足りません。また民族楽器の類も少なめです。おそらく音楽のジャンルによってはすごくはまる人もいるのでしょうが、自分のようにクラシック系やワールド系を作りたい人にはちょっと相性が悪そうな感じです。
Native InstrumentsのKontakt5にストリングアンサンブルを読み込んだところ
またProducerグレード以上にはVSTインストゥルメントとして動作するNative InstrumentsのKomplete Elementsがバンドルされています。実は以前に単体で同じものを購入していたため、ダブってしまったのですが(^^;、サンプリング音源のKontakt 5 Playerとシンセ音源のReaktor 5 PlayerとギターアンプシミュレーターのGuitar Rig 5 Playerが含まれます。ただKomplete Elementsというのはお試しバージョンみたいなものですから、Kontakt 5 Playerで使えるプリセットはほんの少ししか付いてこないのが残念です。しかしその中でもストリングアンサンブルとブラスアンサンブルは非常にリアルであり、かなり使える音色だと思います。Presence用に付属するプリセットよりさらにグレードの高いものになっているので、オーケストラアレンジの中で使えば存在感の強いものになるでしょう。
以上、サンプリング系の音源についてさらっと振り返ってみましたが、ちょっと音楽ジャンルを選ぶかなというのが率直な印象です。もちろんProducerグレード以上ならVSTに対応していますから、必要な音源は別途購入して揃えていけばいいわけですが、そうなるとずいぶん費用がかかってしまいます。Studio One 2自体はDAWとしては安い部類に入るのですが、音源が別売と考えると結局は高くつくのかもしれません。特に自分はピアノの音色にこだわるので、内蔵のStudio One Pianoだけではちょっと物足りない気がします。
Studio One 2はどちらかというとDAWとしてのコアな機能に重点を置き、音源については基本的に後付けという考え方なのかもしれません。とりあえず「追加投資なしで使える」という意味では、ProToolsに付属するXpand2の方が音色のバリエーションが広くてあらゆるジャンルに対応でき、音質も優れていると感じました。ですから、とにかく買ってすぐ使いたい人にはProToolsの方が向いているかなという感じで、Studio One 2の内蔵音源にはあまり期待しない方が良さそうです。
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