しばらく音楽から離れていて、昨年の12月頃から再びピアノを弾き始めたのですが、まず演奏から入るという作戦は成功したようです。作曲まではなかなかモチベーションが上がらないのですが、いろんな曲を演奏していると、いずれ「自分の曲を演奏したい」という欲求が必ず湧き起こってきます。そうなったら作曲のチャンスです。
作曲というのも、いきなり大作に取りかかろうとするとなかなか続かないものです。あまりにも目標が遠すぎて、少し作っては投げ出すことの繰り返しになります。曲を完成させられない人の多くは、すぐれた曲を作らなければならないという意気込みが強すぎて、現実とのギャップに悩んで挫折してしまうことに原因があるのですね。初めの頃の自分もそうでした。
でも誰しもいきなり名曲なんか作れるわけがないのです。駄作でもいいし、別に人に聴かせるわけでもなく、練習のつもりで小品を作っていけばいいのです。とにかく何でもいいから一曲完成させるということが一番大事です。その壁を乗り越えられれば、次からはスムーズに作れるようになるものです。それは変な気負いが取れているからに他なりません。
作曲というのは、実践がすべてだと思っています。一番良くないのは知識ばかり詰め込んで「頭でっかち」になることです。もちろん作曲をするためには最低限の音楽理論は必要ですが、そればかりやって曲を何も作らない人はいつまで経っても作れるようにはなりません。もっと悪いのはシーケンスソフトやレコーディング機材ばかりにお金を注ぎ込む「機材おたく」です。こういった機材はあくまでも道具であって、それが曲を作ってくれるわけではありません。勘違いしてはいけません。
これは自分への戒めのためにも書いていますが、とにかく手を動かさなければ作曲は決してものになりません。作曲というのは本当にプログラミングと似ているなと思います。プログラミングも本を読んだり、学校に通ったりすれば、その時は何となくわかったような気になるものですが、いざプログラムを作れと言われたら絶対できません。プログラミングも言語という知識を学ぶことは必要ですが、そればかりやっていても決してプログラムは書けるようになりません。一番大切なのは、自分で手を動かしてプログラムを書くことです。バグが出ても構わないから、とにかく自分の頭で考え、手を動かして作ること。そして作ったプログラムの数だけ力になります。
作曲もまったく同じです。音楽的でなくても何でもいいから、とにかく自分の手を動かして何かを作ることです。別に長い曲を作らなくても8小節とか16小節くらいの小品でも構いません。もし何も思いつかなければ、ピアノの鍵盤を適当に弾いてみましょう。手を動かしていれば、必ず何らかのフレーズは出てくるものです。そしてそれを記録することです。思いついたフレーズというのは儚い泡のようなもので、一瞬にして消えてしまいます。それを定着させるということが作曲の第一歩といえます。人によって、五線紙に書き留める人もいれば、シーケンスソフトにレコーディングする人、あるいは鼻歌を録音する人もいるでしょう。方法は別に何でもいいので、消えないように残しておくということが大事なのです。どんなつまらないと思えるフレーズでも、後で聴き直してみると案外良いなと思えたりすることもあるし、たくさん残しておけばそれらを再利用して一曲仕上げることも可能なのです。
毎日忙しくて時間がないという人も多いと思いますが、どんなに忙しい人でも一日15分くらいのスキマ時間はあるはずでしょう。その時間を使って、たとえ4小節でもいいから何かフレーズを作ってみることです。正確に言うと、メロディーとコード進行を同時に作るということですね。これらは必ず連動しているものであり、常にセットで考える習慣をつけなければなりません。そして最も大事なことは毎日続けるということ。これがなかなか難しいのですが、毎日作曲に触れるということを習慣にしてしまえばよいのです。楽器に触る時間がなくても、頭の中で考えることはいくらでもできます。それも立派な作曲行為といえます。頭の中で鳴っている音を楽譜にするのはかなり難しいですが、そこまでできれば本物です。最近はスマートフォンの音楽アプリも充実しているので、別にどこにいても作曲はできるはずですよ。いろんなツールを活用して、いつでもどこでもヒマさえあれば作曲のことを考える習慣をつけましょう。
自分も今、16小節くらいの小品を作ったり、一つの曲を少しずつ作ったりすることを毎日続けています。毎日少しずつでも積み重ねていけば、やがて一曲できるのです。そうやって今日一つ完成しました。一曲できればあとは次々できそうな気がしてきます。とにかく毎日作曲に触れるということが大切なのです。
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