前章ではコード進行そのものを作り替えたことにより、だいぶ幼稚っぽさが抜けてきたと思いますが、メロディー単独で聴くとまだ野暮ったい感じは残ってますね。それはリズムが単純すぎるからです。では最後にリズムに変化を付けてカッコ良くしていくことを考えましょう。
リズムを改良する
3番目のメロディーは一番細かい音符でも8分音符までしか使っていません。4分の4拍子の場合、4分音符が一つの拍(ビート)に相当しますが、すべての音符が拍の中にきっちり収まっており、拍をまたぐような動きもありません。このようなリズムは面白味がなく、どうしても単調なメロディーになってしまうのを免れません。そこでもう一つ細かい16部音符や、付点のついた音符を使ってリズムを「崩して」みることを考えます。ここでは音程はそのままにしてリズムだけを修正してみます。たとえば次のように改造することができました。
3番目のメロディーと音程そのものは変わっていないのに印象はずいぶん変わりましたね。より音楽的になった感じがしませんか? 音楽の三要素とは、メロディー・ハーモニー・リズムと言われますが、メロディーやハーモニーのない音楽は存在してもリズムのない音楽というものは存在しません。それほどリズムは重要なものなのです。
ここでは主に4分音符2つを付点4分音符と8分音符に変更したりする修正を行っていますが、これにより「ノリ」が生まれてきます。また音符の始まりを常に拍の頭にするのではなく、半分だけずらす(シンコペーション)ことによっても心地良いノリを生み出すことができます。
また1小節目と3小節目、あるいは2小節目と6小節目に見られるように、音程は違っても同じリズムパターンを流用することによって曲に統一性が生まれてきます。これは「ゆらぎ」の理論とも関係してくるのですが、音楽というものは規則性と不規則性が程よくバランスしているときに最も心地良いと感じることができるのです。完全に規則的で先が予測できるような音楽では退屈してしまいますし、逆にまったく不規則で先の読めない音楽は疲れてしまいます。この例のように、同じリズムパターンを適当に散りばめることにより、規則性と不規則性を適度に併せ持つことができて、心地良く感じられるのです。これもぜひ曲作りのエッセンスとして覚えておいて下さい。
この章では一応ここまでにしておきましょう。最初に作ったメロディーと最後に作ったメロディーを聴き比べると、根本的な構造は変わっていなくてもまるで別の曲に聞こえますね。カッコいいとまでは言えなくても、少なくとも童謡には聞こえないことは確かでしょう。ここでは特に装飾音の使い方をマスターして、童謡からの脱却を目指して下さい。
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