オカリナやケーナは和音が出せない単音楽器ですから、どうやってもソロで吹くと寂しい感じを拭えませんね。寂しいというより間が持たないという感じでしょうか? 逆にソロで聴かせられたら大した腕前だと思います(笑)。そこで誰しもある程度吹けるようになってくると伴奏が欲しいと思うわけです。もちろん一番いいのは仲間を見つけてアンサンブルを楽しむことですが、なかなかそう簡単に見つかるものではないですし、時間の都合でいつでもできるわけではありません。それが無理なら自分でピアノやギターなどを弾いて伴奏を録音し、それをバックに演奏を楽しむという方法もあるにはあります。しかしそれをやるにはまず楽器が弾けないといけないわけで、楽器ができないからという理由でオカリナやケーナをはじめた方にとっては本末転倒な気がします(笑)。
その次に可能な方法としては、カラオケボックスに通ってマシンをバックに演奏することです。最近は一人で楽しむ方も増えていますし、最新の曲もすぐ入ってきますから何かと好都合です。音域の狭いオカリナにとってはキーが変えられることが非常に助かりますし、周りに気兼ねなく音を出せることも大きなメリットでしょう。確かにカラオケボックスはオカリナやケーナの練習をするには理想的な環境だと思います。とは言ってもやはり良いことばかりではありません。まず近くにカラオケボックスがないという方もいるでしょうから、電車に乗って何十分もかけて通わなければならないわずらわしさがあります。また混雑時にはなかなか予約が取れず、待たされることもあります。もちろん少なからず費用もかかります。
そこで考えたのがCDなどからカラオケを作ってしまう方法です。えっ、そんなことができるのか?と思われるでしょうが、それができるのです。実はボーカルの入った曲というのはほとんどボーカルが中央に来るように録音されています。その特性を利用してボーカルだけを消して伴奏を残すということが可能なのです。そのためのソフトというものがあって、「ボーカルキャンセラー」などと呼ばれています。
手前味噌で恐縮ですが、実はこのサイトでボーカルキャンセラーを開発し、配布しています。もともとはカラオケの練習用に開発したものですが、オカリナやケーナの伴奏作りにも使えると気づきました。Windows専用ですので、Macユーザーな方はごめんんなさい。一応シェアウェアですが、時間制限付きで無料でもご利用になれます。下のボタンを押してダウンロードできますので、一度お試し下さい。
このソフトを利用するには、まずCDなどから音声をWAVファイルとして抜き出す必要があります。これをリッピングと呼びますが、やり方はこちらのページをご覧下さい。
WAVファイルが取り出せましたら、あとはボーカルキャンセラー2に読み込ませて処理を行います。何やら設定がたくさんあって難しそうですが、とりあえずそのまま「処理開始」ボタンを押せば標準的な条件で処理されます。たいていの場合はそれでほとんどボーカルが消えてくれるはずですが、たまに消えにくい音源もあります。その場合は少し調整すれば良くなることもあるし、どうしても消えない場合でも元の音よりはかなりボーカルが小さくなっているので、伴奏として使うには差し支えないでしょう。なおこのソフトでうまく消せるのは歌入りの曲だけで、たとえばフォルクローレの曲からケーナの音だけを消すということはできませんのでご了承下さい。
これで歌抜きのカラオケが作れるわけですが、もう一つ大きな問題があります。それは曲のキーが必ずしもオカリナやケーナで演奏するのに適当であるとは限らない点です。特にオカリナは音域が狭いですから、CDに合わせて吹くというのはかなり困難なはずです。ケーナでもフラットの多いキーだととても演奏が難しくなってしまいます。カラオケマシンの場合はMIDIという方式で演奏されていますので、自由にキーを変えることができるのですが、CDは単なる音声ですから後からキーを変えるということは原則的にはできないのです。
しかし心配は要りません。ボーカルキャンセラー2ではCDから取り出した音でも自由にキーを変えられる機能を実装しました。原理的には大変難しいのですが、とにかくカラオケマシンみたいに半音単位で自在にキーを上下させることができます。MIDIと違って多少の音質劣化は避けられませんが、できないよりはできた方がいいですよね? 上下にそれぞれ7半音、つまり完全5度の範囲で変えられますので、理論的にはすべてのキーに移調が可能です。「キーチェンジ」スライダーを左右に動かすことによって設定します。あまり大きく変えると音質が大幅に劣化しますので、なるべく近いキーに移調するのがおすすめです。
これで手持ちのCDなどから歌だけを消して、しかも任意のキーに移調して伴奏を手軽に作成することができます。これならいつでもどこでも好きなだけ演奏を楽しめ、しかも費用もかかりません。お気に入りのJ-POPをオカリナで吹いてみたいと思っている人には良い練習素材になるのではないでしょうか?
最後に一つだけご注意ですが、CDなどから取り出した音源にはもちろん著作権がありますので、個人として楽しむ以外、勝手にYouTubeにアップロードしたりすることはできませんので、それだけは注意してお使い下さい。
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