ProTools 8 / MIDIエディタ

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Pro Tools 8で最も魅力的なのは何といっても新しく追加されたMIDI編集ウィンドウでしょう。今までのPro Tools 7.4でもMIDIの編集はもちろんできましたが、使い勝手は決して良いとは言えませんでした。基本的にウィンドウは編集とミックスの二つしかなく(それがPro Toolsの売りでもありましたが)、トラック編集ウィンドウに埋め込まれたピアノロールでのみ入力や編集が可能でした。しかもノートとベロシティが重なって表示されます。はっきり言ってこの狭いウィンドウの中で細かいMIDIの編集を行うのは至難の業で、到底使う気になれませんでした。そのため、やむなくMIDI編集は他のアプリに任せてオーディオのミックスダウンにのみ使っていました。

トラック編集ウィンドウ
トラック編集ウィンドウ

これではSONARやCubaseの使いやすさには到底敵わず、DTM用途に普及するには大きな障害がありました。そこで満を持してそれらに対抗すべく登場したのが独立したMIDI編集ウィンドウです。もちろんPro Tools 8でも従来と同じようにトラック編集ウィンドウ内でMIDI編集を行うこともできますが、新しいMIDI編集ウィンドウを使った方がはるかに効率的に作業することができます。

MIDI編集ウィンドウ
MIDI編集ウィンドウ

MIDI編集ウィンドウは一般的なDAWを踏襲したピアノロール形式で、上部にノートイベント、下部にベロシティおよびサステインなどのコントロールイベントが表示されます。複数のトラックを重ねて表示させることも可能になっています。

このMIDI編集ウィンドウで特筆すべき点は「スマートツール」の存在です。通常のシーケンサーではノートの入力、移動、伸縮、削除、選択などを行う際にいちいちツールを切り替えたりする必要がありましたが、このスマートツールを利用すると状況に応じて自動的にツールが切り替わってくれるのです。

たとえばノートの真ん中あたりをクリックすると「移動」ツールになり、両端をクリックすると「伸縮」ツールになり、ノートをダブルクリックすると「削除」が行われるといった具合です。さらにノート入力時には何もない場所をクリックすれば「入力」ツールとなり、すでにノートのある場所をクリックすれば「移動」や「伸縮」ツールに自動的に切り替わってくれるので、いちいち入力と編集のツールを切り替える必要がありません。これは使ってみるとものすごく便利であることを実感します。

人間的なニュアンスを表現するにはベロシティの細かいエディットが不可欠ですが、これについても大変使いやすくなっています。下部のベロシティ表示部の棒の先にある菱形の部分をドラッグしてベロシティを上下させますが、複数のノートを選択してまとめて上げ下げすることも可能です。また選択はノート表示部とベロシティ表示部が完全にシンクロしているので、音が重なっている場合でも正確に選択できます。たとえば和音の真ん中の音だけベロシティを下げたいというような場合でも、ノート表示部で真ん中の音をクリックすれば容易に目的を達成できます。さらにはノート表示部でCtrlキーを押しながら目的のノート上でマウスカーソルを上下させるとベロシティが変化する機能もあり、まさに至れり尽くせりです。これまでベロシティの編集は一番骨の折れる作業でしたが、Pro Tools 8のおかげでずいぶん楽になりました。

イベントリストウィンドウ
イベントリストウィンドウ

イベントをティック単位で正確に編集したい場合には従来通りイベントリストが用意されています。開始位置とノートイベントと長さ情報というオーソドックスなスタイルですが、各ノートをクリックすると実際の音を発音するようになっているので、容易にイベントを見つけ出すことができます。イベントの編集は各数値をダブルクリックすることにより行います。

以上、新しく追加されたMIDI編集ウィンドウについて紹介しましたが、SONARに比べて遜色がないどころか、完全に追い越しています。特にスマートツールやベロシティ編集の使いやすさは一度使うと手放せません。もう他のシーケンサーは使う気がしなくなってしまいました。

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