DTMで音楽制作する上で特に気になるのはピアノの音質で、これまでこだわっていろいろ試してきました。新しいものほどサンプル容量も大きくなって音質は向上する傾向にありますが、必ずしもそうとは言い切れません。音楽スタイルに合わせて向き不向きもあるでしょうし、自分の好みに合った音を選びたいものです。
最近IK MultimediaのSampleTank 3 SEを手に入れましたので、現在主力で使っているピアノ音源3種の音質を比較してみたいと思います。
同一条件で比較するため、同じMIDIデータを使い、音源だけ入れ替えて再生しました。制作にはStudioOne 3を使っています。エフェクトによっても音質が変わってしまうため、プラグイン内蔵のリバーブは切ってStudioOne側のリバーブで統一しています。なお曲目はショパンの「革命エチュード」です。低域から高域まで幅広く使われ、ダイナミクスの変化も激しいので音質を比較するには適していると思いました。
■StudioOneに付属するStudio Grand
StudioOne 3になって新しいピアノ音源が追加されましたが、こちらは従来のStudioOne 2から付属しているStudio Grandというピアノ音源です。新しいピアノ音源はどうも音がこもり気味で、まったく良いとは思えませんでした。StudioOneに付属するピアノ音源の中ではこのStudio Grandが一番使えると思います。
3つの中でサンプル容量は最も小さくスペック的には見劣りしますが、音質はそんなに悪くありません。低域もよく響いていますし、他と比べても言われなければわからないほどで、十分使える音と言えるでしょう。ただ減衰がやや速めのため、音が短く途切れがちな傾向があります。またベロシティーによるダイナミクスの変化が乏しいのが気になりました。しかしある程度はエディットで調整することができます。
■Native InstrumentsのNew York Concert Grand
サンプル容量的にはこれが最も大きいので、それなりにリッチな音色になっています。ベロシティーによるダイナミクスの変化も豊かです。輪郭のはっきりした明瞭な音と言えるでしょう。少し硬質な響きなので、どちらかと言えばポピュラー向きかもしれません。
■SampleTank 3 SEのGrand Piano 1 SE
NewYorkよりは少し柔らかめで耳当たりの良い音質だと思います。特に低域の豊かさが気に入りました。クラシックにはこちらの方が向いているかもしれません。ピアノにはいくつかバリエーションがありますので、音楽スタイルによって好みの音質を選ぶこともできます。また響板の共鳴など、かなり細かくエディットも可能です。
3つを比べてみると、やはり単体発売されているNewYorkが一番リッチな響きがしますが、SampleTankも甲乙付けがたいと思いました。曲調によって使い分けてみたいところです。iRig Keysを買うと無料で付いてくるのですからこれは見逃せません。またStudioOne付属のStudio Grandも他に比べてそう見劣りしないこともわかるでしょう。とりあえずVST音源を手に入れるまでのつなぎとしては十分使えると思います。
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